不動産の瑕疵担保責任とは|売る前に知っておくべきリスク範囲と期間

家の販売価格も決めて、さて後は希望者が来てくれるのを待つだけ…と思っていたら、不動産業者から「カシタンポセキニンの期間の設定ですが…」と言われ、頭は疑問符がいっぱい浮かんでしまいました。初めて聞く言葉で、どんな漢字かもわからなかったんです。詳しく話を聞いてみると、家を売る時には買ってくれる人に対してマイナス要素も包み隠さず伝えなくてはならず、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)の期間中は家を売ったあとにも売主としての責任があると言うんです。マイナス部分は全部伝えなきゃダメ?大幅に値下げしてなんて安く交渉されたりしないの?…と不安になりました。今回はそんな、ちょっと心配になる内容を詳しく説明します。

不動産の瑕疵担保責任とは

難しい漢字が並ぶので、まずは普段なじみのない「瑕疵(かし)」について説明します。
一般的に傷や欠点のことを瑕疵といいますが、不動産の場合、家や建物、土地などの不都合や不具合、欠陥のなかで、見ただけではわからなかったり、普段は隠れている部分なので発見することが難しかったりするものが「瑕疵(かし)」と呼ばれます。
つまり「瑕疵担保責任」とは、売った家に後から瑕疵が発見されたら、その部分はきちんと使えるようにしますということです。この瑕疵を故意に隠していたと発覚した場合、かなり大きな賠償責任を問われることになります。

<ワンポイント豆知識>

売主が売るときに知らなかったけれど、売った後に買主が発見した瑕疵のことを、不動産の専門用語では「隠れたる瑕疵」と言うそうです。そして、瑕疵担保責任は、この隠れたる瑕疵に対しての責任になります。

瑕疵には3つの種類があります。

物件に欠陥がある!物理的瑕疵

雨漏りやシロアリによる柱への侵食、耐震強度不足、土壌汚染など家や建物、土地に物理的な問題がある場合を「物理的瑕疵」と言います。買主がリフォームや建て替えなどを検討している時に発見されることが多い瑕疵です。

気持ち的にイヤ!心理的瑕疵

過去に事件や殺人、自殺や死亡事故などがあったなど、その事が契約前にわかっていたら買わなかったのにと、買主に言われてしまう場合に該当します。テレビのニュースで放送された心理的瑕疵物件は、いわゆる「事故物件」と呼ばれ、インターネットなどで検索すると簡単に調べることもできます。では室内で人が死亡したら全て心理的瑕疵になるのかと言われると、一概にそうとは言えず、死亡者のいない傷害事件や老衰、病死などは除外される場合もあります。人により感じ方が違うため、売買交渉の話を進める中の状況で判断するしかない、かなり難しい瑕疵です。

快適な生活に支障!環境的瑕疵

近隣に嫌悪施設がある、建物の周辺で事件や事故が発生した、火災があったなど、売っている物件自体には何の問題もないけれど、周辺環境のために安全で快適な生活を過ごせないと判断された場合に該当します。子どものいる家庭には喜ばれる小学校や中学校も、学校の放送がうるさいとか、通学時のいたずらが心配など、時としてこの「環境的瑕疵」に該当してしまうので注意してください。
※嫌悪施設に関しての詳しい内容は【周辺の環境と家の査定額の関係】項目内にある、嫌悪施設の項を参照してください。

瑕疵になる範囲は不動産の種類で異なります。

土地付き一戸建ての瑕疵担保責任

「雨漏り」「シロアリ」「建物の重要な構造部分の欠陥や腐食」「境界の不備」「土地に埋まっていた埋没物」の5つのポイントが基本になり、それ以外は瑕疵担保責任の対象外となります。
瑕疵担保責任は一見して見えない場所を対象にした「瑕疵」に対しての欠陥が対象なので、建物のドアや床、壁や窓など経年の劣化が見てわかる事柄に関しては買主の見逃しによる過失とされ、対象外になります。
土地に関しての詳しい瑕疵担保責任は、下に記載した【土地の瑕疵担保責任】を参照してください。

マンションの瑕疵担保責任

基本的には土地付き一戸建ての瑕疵担保責任と変わりません。マンションの場合はその他、排水管などが含まれる場合もあります。また、マンションで注意したい瑕疵担保責任は、共有部分も含まれていることです。両隣の部屋での心理的瑕疵、玄関や中庭などマンション全体に関わる心理的瑕疵も、先に説明しておく方が賢明と言えます。給湯器が壊れた、フローリングにヒビが入っていたなどは、先ほどと同様に瑕疵担保責任の対象外となります。

土地の瑕疵担保責任

土地の瑕疵担保責任は「法令上の建築制限や権利関係」「地中の埋蔵物」「土壌汚染」「地盤の軟弱」「境界の不備」に加え、「環境的瑕疵」も含まれるなど多岐に渡ります。法令上の建築制限や土壌汚染、地盤の境界の不備に関しては、土地の調査を事前にしておくことで回避することができます。一番の問題は、掘り起こさなければわからなかった「地中の埋蔵物」です。埋蔵物なんて言われると、埋蔵金やお宝が埋まってた…なんて気がするかもしれませんが、ほとんどの場合はそうではありません。以前に立っていた建物を解体した時の廃材やコンクリート、池や井戸、地下室の跡、もうウン十年も使われていない水道管など、売り主も知らなかったあらゆるいらないものが埋まっていて、撤去費用などを請求される可能性があります。

ワンポイント豆知識

もし遺跡が発掘されてしまったら、その場合は瑕疵担保責任には問われません。買主は市町村に「発見届」を提出し、調査のための発掘費用は全額補助金で賄われます。

瑕疵担保責任の期間

売買契約時に期間を決めよう

不動産業者が売り手となる場合、瑕疵担保責任期間は2年と決められていますが、売り手が個人の場合には、決められた期間はありません。そして、瑕疵担保責任は民法上、買主が瑕疵を見つけてから1年間の責任を負うとされているため、期間を設定しないと3年前や5年前に売った家にも瑕疵担保責任があるということになってしまいます。そのため、一般的には瑕疵担保責任の期間は2カ月~3カ月で設定することが多いようです。ただし、重大な瑕疵が発見されたり、売主が隠していたりということが発覚した場合は設定した期間に関係なく、瑕疵担保責任を負うことになります。

10年で瑕疵担保責任は消滅します

先ほど「重大な瑕疵に関しては期間に関係なく、瑕疵担保責任を負うことになります」と伝えたので、10年で瑕疵担保責任が消滅するのはおかしいのでは?と思ったかもしれません。確かに、重大な瑕疵に関しては売った30年後に裁判を起こされ、瑕疵担保責任により多額の賠償金が発生したという事例もあります。しかし、【既存住宅価格マニュアルで家の価値を把握】の記事にあるように、建物の価値は10年でゼロになると言われています。建物の価値がゼロになったのに、瑕疵担保の責任だけ残っているのは不都合があるとして、民法の債権消滅時効ルールにより、一般的には10年間で瑕疵担保責任は消滅すると言うわけなのです。価値がゼロにはならない土地に対しても、民法の債権消滅時効ルールは適用され10年で消滅します。

瑕疵担保責任を放棄できる場合もあります

瑕疵担保責任は基本、売主に必ず発生するものですが、その責任を放棄できる3つのパターンがあります。

  • 売却する建物の築年数が20年や30年など、かなり古いこと
  • 建物の築年数の古さに加え、売主も今回売ろうとしている物件を中古で購入している場合

この2つに関しては、「瑕疵担保責任免責物件」として、売主が瑕疵担保責任を放棄していると広告やちらしに記載する必要があります。売った後の責任はなくなりますが、安く交渉される材料にもなりますのでどちらが良いのか考える必要があるでしょう。

  • 買主が建物を解体して、新しく住宅などを建築する場合

瑕疵担保責任を負うべき建物がなくなってしまうので、建物に関しての瑕疵担保責任はなくなります。
土地に関しての瑕疵担保責任を残すか残さないかは、両者の話し合いで決めることが多いです。

瑕疵担保責任のための保険もあります

もしもの時に…と備えたい場合は、「既存住宅売買の瑕疵保険」(個人間売買タイプ)という保険があります。国土交通大臣に指定された5つの住宅瑕疵担保責任保険法人の保険であり、どの法人を選んでも住宅の検査と保証がセットになっており、瑕疵が発見された場合、かかる費用などを保険で賄うことができます。しかし、売主個人で入会できるものではなく、検査を請け負う検査事業者と契約し、その検査事業者に住宅瑕疵担保責任保険法人へ保険を申し込んでもらうという形式になりますので、入りたい場合は不動産業者に相談してみると良いでしょう。
また、最近では買主向けのサービスにはなりますが、不動産の仲介業者が瑕疵保険の保証を付けたサービスを行っていることもあるため、こちらも不動産業者に確認してみてください。

まとめ

「瑕疵担保責任」なんて言われると、どれだけ難解な試練が売った後にも課せられるのか…とビクビクしてしまいますよね。でも簡単に言えば、売った後でも気づかなかった欠陥に関して、保証する責任があるんだよということです。内緒にしておけばバレないなんて考えていると、裁判を起こされ、後でとんでもなく高額な賠償金を支払うことになったなんて話も聞きました。瑕疵が存在する部分は買主に伝え、了承をもらってから契約すれば、瑕疵担保責任の対象外になります。でも、マイナス部分はできる限り売る前に解消してから売るのが安心ですよね。

プロフィール

こんにちは。
東京で独身時代を過ごし、現在は結婚して関西でマンションを購入。趣味は食べ歩きとマンガを読むことです。
※ちなみに、イラストの後ろはマンガで、決して札束ではありませんよ(^^)。
20代のとき、マンションを購入&売却しましたが、買うのはいいけど売るときは失敗だらけ…。意外と周りにも同じ失敗や体験をしている人が多かったのです。そこで、高く売るためのサイトを作ろうと一念発起!
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