2019.08.222020.07.09

家・マンション売却の瑕疵担保責任とは?注意点や免責について

瑕疵担保責任とは

売却した家に欠陥が見つかったとき、売主が買主に対して持つ責任のことを「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」といいます。

瑕疵担保責任を巡っては、買主に損害賠償や契約解除を求められるケースもあるので、家を売る前にしっかり理解しておく必要があります。

そこで今回は、売主が持つ瑕疵担保責任の範囲や期間、トラブルを防ぐための注意点を解説していきます。

こんな悩みを解消します!

  • 「瑕疵担保責任」って何?売主はどんな責任を負うの?
  • 「瑕疵担保責任」の対象となるケースは?有効期間はいつまで?
  • 「瑕疵担保責任」を放棄することはできる?

不動産の瑕疵担保責任とは

まずは普段なじみの薄い「瑕疵(かし)」という言葉から説明します。

一般的に傷や欠点のことを「瑕疵」といいますが、不動産の場合は家や建物、土地などの不具合や欠陥の中で、見ただけでは気づくのが難しいものを「瑕疵」といいます。

つまり、「瑕疵担保責任」とは売った家に後から瑕疵が発見されたら、その瑕疵は売主が直さなければいけないという責任のことです。

瑕疵を故意に隠していた場合、発覚すると大きな賠償責任を問われることになります。

<ワンポイント豆知識>

売主が瑕疵を把握していないまま売却し、買主が後から発見した瑕疵のことを、不動産の専門用語では「隠れたる瑕疵」といいます。
この場合でも瑕疵担保責任は売主に発生し、その責任を負うことになります。

瑕疵には3つの種類があります

黒板に書かれた「問題点」という文字を拡大する虫眼鏡
不動産取引で注意しなければならない瑕疵は「物理的瑕疵」「心理的瑕疵」「環境的瑕疵」の3種類です。

物件に欠陥がある!「物理的瑕疵」

シロアリによる柱への侵食、耐震強度不足、土壌汚染、家や建物の雨漏り、軟弱な地盤など、物件が抱える物理的な問題点は「物理的瑕疵」といいます。
買主がリフォームや建て替えなどを検討しているときに発見されることが多い瑕疵です。

気持ち的にイヤ!「心理的瑕疵」

過去に殺人事件や自殺、死亡事故があったなど、いわゆる「事故物件」といわれるものが該当します。

ただ、室内で人が死亡すれば全て心理的瑕疵にあたるわけではなく、死亡者のいない傷害事件や老衰、病死などは除外される場合もあります。

心理的瑕疵は人によって感じ方が違うため、事件や事故があった物件でも「安ければ気にしない」いう人もおり、判断が難しい瑕疵といえます。

快適な生活に支障!「環境的瑕疵」

物件自体に問題はないが、近隣に工場やごみ処理場といった嫌悪施設があるなど、安全で快適な生活を過ごせないと環境だと判断された場合に該当します。

瑕疵になる範囲は不動産の種類で異なります。

具体的に担保すべき瑕疵はどんな内容なのか、あらかじめ知っておけば対策しやすくなります。
ここからは「一戸建て」「マンション」「土地」、それぞれで異なる瑕疵の内容について解説していきます。

土地付き一戸建ての瑕疵担保責任

「雨漏り」「シロアリ」「建物の重要な構造部分の欠陥や腐食」「境界の不備」「土地の埋没物」の5つのポイントが基本になり、それ以外は瑕疵担保責任の対象外となります。

瑕疵担保責任は、一見しただけではわからない「瑕疵」が対象なので、建物のドアや床、壁や窓など経年の劣化が見てわかるものは瑕疵ではなく、買主の見逃しによる過失となります。

土地の瑕疵担保責任について、詳しくは本記事の「土地の瑕疵担保責任」を参考にしてください。

マンションの瑕疵担保責任

一戸建てとの大きな違いは、マンションの場合、共有部分の瑕疵も売主の責任となること。

それ以外は基本的に一戸建てとあまり変わりませんが、マンションだとそのほかに排水管なども含まれる場合があります。

そのほか、両隣の部屋での心理的瑕疵、玄関や中庭などマンション全体に関わる心理的瑕疵も、売却前に説明しておく方が賢明といえます。
また、給湯器が壊れていた、フローリングにヒビが入っていたなどの目に見える物理的な損壊は、瑕疵ではなく「見逃しによる過失」とみなされます。

土地の瑕疵担保責任

土地の瑕疵担保責任は「法令上の建築制限や権利関係」「地中の埋蔵物」「土壌汚染」「地盤の軟弱」「境界の不備」に加え、「環境的瑕疵」も含まれており、多岐に渡ります。
法令上の建築制限や土壌汚染、地盤の境界の不備に関しては、土地の調査を事前にしておくことで回避できます。

一番の問題は、掘り起こさなければわからなかった「地中の埋蔵物」です。
以前に立っていた建物を解体した時の廃材やコンクリート、池や井戸、地下室の跡、使われていない水道管などがゴミ捨て場代わりに埋められていた場合、撤去費用などを請求される可能性があります。

ワンポイント豆知識

遺跡などが埋蔵物として発見された場合、調査や保護が優先され、着工までに数ヵ月ほどかかるケースがあります。
この場合、売主の瑕疵担保責任が問われるか否かは、状況によって司法の判断もわかれるようです。
発掘調査費用には補助金が出るケースが多いのですが、着工の遅延によって買主に生じたコストは補助金の対象とはなりません。
売りに出す前に、不動産業者へ相談してみることをおすすめします。

瑕疵担保責任の期間

カレンダーとサインペンの写真
瑕疵担保責任は売主にあるとはいうものの、いつまでその責任を負う義務があるのでしょうか。
瑕疵担保責任の期限について確認しておきましょう。

売買契約時に期間を決めよう

不動産業者が売り手となる場合、瑕疵担保責任期間は2年と決められていますが、売り手が個人の場合には決められた期間はありません。
そして、瑕疵担保責任は民法上、買主が瑕疵を見つけてから1年間の責任を負うとされているため、期間を設定しないと3年前や5年前に売った家にも瑕疵担保責任を問われることがあり得ます。
そのため、一般的には瑕疵担保責任の期間を売買契約時に設定することが多いようです。
この期間は一般的には2~3ヵ月程度ですが、重大な瑕疵が発見されたり、売主が隠していたりということが発覚した場合は設定した期間に関係なく、瑕疵担保責任を負うことになります。

10年で瑕疵担保責任は消滅します

先ほど「重大な瑕疵に関しては期間に関係なく、瑕疵担保責任を負うことになる」とお伝えしたので、「10年で瑕疵担保責任が消滅するのはおかしいのでは」と思われたかもしれません。
確かに、売却の30年後に重大な瑕疵が発覚して裁判を起こされ、瑕疵担保責任により多額の賠償金が発生したという事例もあります。
しかし、「家の査定はどこをチェックしている?評価ポイントと注意点」の「既存住宅価格マニュアルで家の価値を把握」にもあるように、建物の価値は10年でゼロになるといわれています。
建物の価値がゼロになったのに、瑕疵担保の責任だけ残っているのは不都合があるとして、民法の債権消滅時効ルールにより、一般的には10年間で瑕疵担保責任は消滅するというわけなのです。
価値がゼロにはならない土地に対しても、民法の債権消滅時効ルールは適用され、10年で消滅します。

瑕疵担保責任を放棄できる場合もあります

瑕疵担保責任は基本的に、売主に対して必ず発生するものですが、その責任を放棄できるパターンが3つあります。

  • 売却する建物の築年数が20~30年などかなり古い場合
  • 建物の築年数の古さに加え、売ろうとしている物件を中古物件として購入している場合

この2つに関しては「瑕疵担保責任免責物件」として、売主が瑕疵担保責任を放棄していると広告やチラシに記載する必要があります。
売った後の責任はなくなりますが、安く交渉される材料にもなりますのでどちらが良いのか考える必要があるでしょう。

  • 買主が建物を解体して、新しく住宅などを建築する場合

上記の場合は瑕疵担保責任を負うべき建物自体がなくなるため、建物に関しての瑕疵担保責任を負う必要もなくなります。

また土地の瑕疵担保責任の場合、それを残すか残さないかは、両者の話し合いで決めるのが一般的です。

瑕疵担保責任のための保険もあります

もしもの時に備えたい場合は「既存住宅売買の瑕疵保険」(個人間売買タイプ)という保険を利用してみましょう。
この保険は国土交通大臣に指定された5つの住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱っており、住宅の検査と保証がセットになっています。

取扱会社 所在地 連絡先
株式会社住宅あんしん保証 〒104-0031 東京都中央区京橋1-6-1 三井住友海上テプコビル6階 03-3562-8120
住宅保証機構株式会社 〒105-0011  東京都港区芝公園3-1-38 芝公園三丁目ビル 03-6435-8870
株式会社日本住宅保証検査機構 〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-6ランディック神田ビル 03-6861-9210
株式会社ハウスジーメン 〒105-0003 東京都港区西新橋3-7-1 ランディック第2新橋ビル8階 03-5408-8486
ハウスプラス住宅保証株式会社 〒108-0014 東京都港区芝5-33-7 03-5962-3815

保険に加入しておけば瑕疵が発見された場合にかかる費用などを保険で賄うことができますが、売主個人では申し込めません。
まず検査を請け負う検査事業者と契約し、その検査事業者から住宅瑕疵担保責任保険法人へ保険を申し込んでもらう必要があります。
瑕疵保険に入りたい場合は、不動産会社に相談してみましょう。

まとめ

瑕疵があることを伝えずに家を売却すると、後に買主から高額な損害賠償金や契約解除を求められるおそれがあります。

瑕疵がある場合は必ず買主に伝え、納得してもらってから売買契約を結ぶようにしましょう。

目次へ戻る
―みんな実践している―家やマンションを高く売る方法