離婚するとき住宅ローンが残っている家はどうするのが正解?

結婚したからには一生添い遂げる…が理想ですが、2015年度の「人口動態統計調査」では、結婚しているカップルの3組に1組は離婚しているという結果が出ています。

テレビなどで芸能人の離婚を見ると、あの豪邸はどうするんだろ…なんて気になったりしますよね。離婚を決意したとき、持ち家をどうすればいいのかは悩みどころだと思います。

離婚の財産分与時に、一番大きくてややこしい問題は家をどうするかです。苦しい作業ではありますが、できる限り円滑に新しい人生をスタートできるよう、その要点をまとめました。

まずは家と住宅ローンの内容を確認

夫婦で購入した家やマンションの場合、住宅ローンを組んで購入する場合がほとんどです。離婚を考えたときには、まず家や住宅ローンに関して、下記の内容を確認してください。

  • 家の名義人
  • 住宅ローンの名義人
  • 連帯保証人の有無
  • 住宅ローンの支払い残高

住宅ローンを完済する方法を考える

住宅ローンを完済している、または利用していないのであれば、財産分与をするために売却するのも、夫婦のどちらかが住み続けるのも、そう難しい問題はありません。

ところが、住宅ローンを返済中であれば話は別です。借金といったマイナスの財産も離婚時の財産分与の対象であり、例え夫名義の住宅ローンだったとしても、夫婦で平等に分けることになります。そのためにも、住宅ローンは完済しておく必要があります。

抵当権を抹消しないと家は売れません

住宅ローンを借りる時、金融機関は貸すための条件として、その家を担保にします。それが抵当権です。この抵当権が付いたままでは、買主が家を買うためのローンが組めないことがあり、家を売った後のトラブルにもなります。

抵当権を抹消するためには、住宅ローンの残り(残債)を一括で返済する必要があります。

仲介で売り、売却代金でローンを完済する

手元に住宅ローンを返済できるだけのお金がない場合、普通に家を売るのと同様に仲介業者にお願いし、売却した代金で住宅ローンを支払います。売れるまでの期間は読めませんが、一番高く売れる方法です。

この際は、複数の不動産会社に査定を依頼し、しっかりとした不動産会社を選んでください。査定の方法や不動産会社の選び方は【家の査定で損をしないために!不動産売却査定の価格決定ポイント】や【家&マンションを高値で売却する不動産会社の選び方と失敗談】を参照してください。

買取&手持ちの資産でローンを完済する

住宅ローンの残債が少ない場合や、離婚の成立がすぐなのでなるべく早く売りたいという場合は、買取業者にお願いして家を売却します。仲介で売却するよりも6割程度という安い売却価格になってしまいますが、早く確実に売ることができます。

住宅ローンを完済するには売却金額では足りない場合、手持ちの資金を持ち出すなどで対応します。新しい生活のための資金を切り崩すことになるので、正直おすすめはできません。

買取に関しての詳細は【不動産買取業者に頼んで相場より得する条件。そのメリットデメリット】の記事を参照してください。

完済の見込みがないなら任意売却を検討する

住宅ローンの残債が多く、売却代金でも足らず、さらに手持ちの資金がないので補完もできないという場合、任意売却という方法があります。住宅ローンのあるままに売却し、残りの代金は新しくローンを組み、少しずつ返却していく方法です。

ただし任意売却は弁護士などの指導と金融機関の承諾があって初めて行える売却であり、一定期間、金融機関での借り入れが難しくなることもあるため、任意売却を選ぶのは最終手段だと考えてください。

任意売却に関しての詳細は【任意売却で住宅ローン返済中の家・マンションを安心して売る方法】の記事を参照してください。

立地や築浅の場合は、賃貸物件への検討も

購入したばかりの新築物件や、立地や築浅物件の場合、売却ではなく賃貸物件にして、家賃収入を住宅ローンの返済にあてるという方法もあります。

ただし、住宅ローンの名義人以外がその家に住むことになるので、銀行へ事前に相談し、承諾を得る必要があります。

また、定期的なメンテナンスや、空き室のリスクなども考え、自分の家が賃貸物件として魅力的であるか…を冷静に判断し、不動産業者などにも相談してから賃貸物件への検討を行ってください。

夫婦共有名義や連帯保証人のトラブル

共働き夫婦が増えているので、家を買うときにも、住宅ローンや家を夫婦の共同名義にする人が多くなっています。仲の良い時であれば、夫婦が平等という証のようで微笑ましいですが、売るとなるととても面倒なことが多く発生します。

また、例えば夫名義の家や住宅ローンでも、妻が連帯保証人になっているケースが多いです。この連帯保証人から外れておかないと、後々大きなトラブルになる可能性がありますので、ここは忘れずに処理しておきましょう。

共有名義って何?

夫婦に限らず、一つの不動産を親や兄弟などが共同で所有していることを言います。相続した不動産や、住宅ローンなどが共有名義になっていることが多いです。共有名義の家を売却する際には、下記の項目をすべてクリアする必要があります。

  • 共有者全員の承諾
  • 共有者全員の実印と印鑑証明
  • 共有者全員が直筆で契約書にサイン
  • 売買契約時は共有者全員で立ち会い
  • 決済時は共有者全員で立ち会い

離婚が成立して自宅を売却しようと思っても、どちらかと音信不通になっていてしまっては売却することができません。離婚で共有名義の自宅を売却する際は、離婚成立前の売却がおすすめです

新しい住宅ローンが組めない場合がある

住宅ローンは基本、ひとりに対し1つが望ましいとされ、金融機関が住宅ローンの審査をする際にも、他の金融機関で住宅ローンを組んでいないかを必ずチェックしています。買い替えなどで一時的にダブルローンになる場合は許可されることもありますが、審査はかなり厳しくなります。

そのため、例えば離婚などの話し合いで夫婦のどちらかが支払っていくという取り決めをした場合でも、離婚する前の住宅ローンを共有名義のままにしておくと、新しい生活を始めるために家を買おうとなった際、住宅ローン審査に通らない可能性が高いです。

離婚しても連帯保証人は解除されない

住宅ローンは、ローンの名義人と銀行との契約なので、離婚しても名義人の変更はできません。夫名義の住宅ローンで連帯保証人を妻にしてある場合、夫と離婚して戸籍上他人になったとしても、妻は連帯保証人のままなのです。

例えば、妻はもう家を出て、新しい人と結婚し生活を始めているとします。しかし前夫が住宅ローンの支払いを滞らせた場合、それが何十年も経った後だったとしても、ローンの支払いがある限り、銀行から連帯保証人である妻のもとへ請求がきて、妻には支払いの義務が発生します

前の家を売れば…と思っても、もし夫が失踪している場合は共有者全員の合意が得られないとして売ることができず、妻の現在の財産を差し押さえられてしまいます。

連帯保証人から外れたい場合、連帯保証人になっている住宅ローンを返済し、債務をなくす必要があります。また、新たな連帯債務者を見つけ金融機関に提出するという方法がありますが、連帯保証人は上記の通り、かなり厳しい保証人であるため親しい親族などでもなってくれることが少なく、現実的ではありません。

住宅ローンが残っていると家の名義変更は不可能

タイトルとは相反しますが、実は理論上では、住宅ローンが残っていても家の名義を変更することは可能です。できると伝えているサイトもたくさんあります。

しかし実情を言えば、住宅ローンを組む際に締結した金銭消費貸借契約書(抵当権設定契約証書)の中に、不動産の名義変更をする場合には事前に銀行の承諾を得なければいけないという条項がほぼ入っています

つまり、住宅ローンのある不動産の名義を変更する時には、銀行の承諾を得てからにしてくださいということです。銀行の承諾なしで名義変更をすると、当然この条項に違反することになり、契約違反を理由に一括返済を求めてくる可能性もあります

そして、離婚が原因での名義変更は、住宅ローンの支払い能力などを考慮され、銀行に承諾してもらえる可能性はかなり低いと言えます。

名義変更をしないまま、家に住み続けるリスク

それなら、不動産の名義変更をせずそのまま住み続けてしまえばいいや…と考えますよね。しかし、住宅ローンとは、住宅ローンを組んでいる人がそこに住むことを条件に融資を行っているので、仮に夫名義の家に妻が住み続けると、条件に当てはまらなくなり違反とみなされます。

銀行は住んでいる人を見張っているわけではないので、その違反に気づくことはないかもしれません。しかし、もし夫が住宅ローンの支払いが滞ったなどでバレた場合、銀行から債務回収のために家を競売に出され、強制退去を強いられてしまうことになり兼ねません。

また、意外と忘れがちですが家の名義人である夫が亡くなった場合、相続人がその家を取得することになるので、相続人から退去を求められることが多いです。名義変更をせずに住み続けるリスクがかなり高いことを、分かっていただけたでしょうか?次から、ではどうすればいいのか?という解決策をお伝えします。

住宅ローンが残っている家に住み続けるための解決策

住宅ローンや家が共有名義であることや、一般に多い、収入の高い夫から収入の低い妻への名義変更を前提に、話を進めていきます。

住宅ローンを借り換える

妻にある程度の収入があり、住宅ローンの残債分の借り換え融資審査を突破できるのであれば、一番おすすめできる方法です。この場合、借り換え先の銀行から審査を受け、無事に内諾を得た状態でスタートする方が安心です。

そして、新しい銀行で受けた融資で、前の住宅ローンを完済します。家に関しても、住宅ローンが共有ではなくなったため、名義人の変更が可能です。

登記の手順は以下になります。

  • 抵当権抹消登記(最初に住宅ローンを組んでいた銀行)
  • 財産分与を原因とする所有権移転登記(夫婦共有→妻のみ)
  • 抵当権設定登記(妻の新たな借入先)

ただし、この方法は、あくまでも妻に住宅ローンを借りるだけの収入があることが前提です。勤続年数が少ない場合や、パート・アルバイトでは審査に通ることは非常に厳しいと言えます。

履行引受を行い、住宅ローンを完済する

まずは不動産の名義変更をせず、履行引受という形で妻が住宅ローンを払い続けます。そして、住宅ローンを完済してから、名義変更(所有権移転登記)を行います。

この方法は、上の「名義変更をしないまま家に住み続けるリスク」はありますが、夫に住宅ローンの支払いを依存しないため、夫が住宅ローンの支払いを滞らせたため、家が競売にかけられてしまったというリスクは回避することができます。

ただし、完済するまでに20年や30年も年月が必要になると、夫と音信不通の場合も多く、名義変更の手続きに応じてくれる保証もありません。最悪の場合、住宅ローンを支払った家は自分のものだと主張してくることもあります。

住宅ローンをあと数年で払い終わるという程度の、残債が少ない場合におすすめです。さらに、離婚の際には「住宅ローンが完済したら、妻の名義にする」という、家の名義変更についての取り決めを、離婚協議書や法的効力のある公正証書に記しておいたほうが安心です。

履行引受とは?

民法では、履行引受は「第三者が債務者に対して特定の債務の履行を約束すること。民法上の規定はないが第三者が弁済できる場合には認められる。債務引受とは異なり、債権者の同意は必要としない。また特約がない限り、債権者は履行引受者に直接請求することはできない」と記されています。

つまり、今回の住宅ローンに即して説明すると、今まで夫が支払っていた住宅ローンを、妻が支払うという契約を交わします。この時、銀行への同意は必要なしです。そして、妻が住宅ローン完済まで支払いを続けるというものです。

夫がもし住宅ローンを滞らせたら…という心配もなく、もし仮に妻が住宅ローンの支払いをしなかった時には、夫へ銀行の支払い請求が行くことになります。

家を慰謝料にする時は、渡した方に譲渡所得税が掛かるかも

夫婦のどちらかが原因で離婚に陥った場合、慰謝料を渡すことになります。この慰謝料に関しては、何千万円もらったとしても、貰った方に贈与税や所得税は掛かりません。しかし、家を慰謝料で欲しいと請求された場合、渡す側には少し注意が必要です。

家という不動産を、慰謝料という債務に対して代物弁済したとみなされ、税務上は不動産を相手に売却したことになってしまいます。慰謝料相当額が売却代金となり、利益が発生したならば譲渡所得税が発生します。

居住用の家を売却した際にはさまざまな特別控除があるので、それを使えば節税できるかも…と思うかもしれませんが、親族間や夫婦間など特別な関係での不動産売却には、特別控除は条件外になり、まったく使うことができません

自宅を慰謝料にするつもりであれば、自宅で慰謝料を支払うのではなく、離婚が成立した後に自宅を慰謝料として支払えば、特例を使うことができます。

まとめ

結論から言うと住宅ローンがある状態で離婚するのであれば、売って住宅ローンを返済するのが最善です。利益の有無もきっちりと判明するので、財産分与もしっかりと行えます。また、連帯保証人になっていた場合も外れることができるので、後々のトラブルも回避できます。

ただし、離婚後もその家に住み続けたい場合、その家の名義変更をするためにはいくつもの高いハードルがあります。面倒だから名義変更はしなくていいか…と安易に考えると、最終的には住む家を取り上げられ、路頭に迷うことになります。

名義変更をしないまま住み続けることは非常にリスクが高いことを理解し、きちんと変更を行うための手続きを行ってください。

プロフィール

こんにちは。
東京で独身時代を過ごし、現在は結婚して関西でマンションを購入。趣味は食べ歩きとマンガを読むことです。
※ちなみに、イラストの後ろはマンガで、決して札束ではありませんよ(^^)。
20代のとき、マンションを購入&売却しましたが、買うのはいいけど売るときは失敗だらけ…。意外と周りにも同じ失敗や体験をしている人が多かったのです。そこで、高く売るためのサイトを作ろうと一念発起!
素人ながらに調べた知識をみんなで共有できたらと頑張っています。

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「家売るオンナ」サンチー不動産同盟