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2019.08.222020.01.24

離婚したら住宅ローン返済はどうなる?家は売れる?解決策と注意点

離婚と住宅ローンの問題に悩む夫婦

離婚の際、夫婦共同で購入した家をどうするかは大きな問題の一つ。たとえば、残っている住宅ローンは誰が支払うのか、財産分与はどうなるのか、離婚後もその家に住み続けることは可能なのかなど、さまざまな疑問が浮かびます。
そこで今回は離婚時に住宅ローンが残っている場合の返済方法や名義変更など、確認しておくべきポイントや対策についてお伝えします。

まずは家と住宅ローンの内容を確認

離婚を考えたときは、まず家や住宅ローンに関して下記の内容を確認しましょう。

  • 家の名義人
  • 住宅ローンの名義人
  • 連帯保証人の有無
  • 住宅ローンの支払い残高

 

ただし、夫婦のどちらかが結婚前に購入し、すべての支払いを済ませてある物件に関しては、その支払いを済ませた本人に所有権があります。財産分与の対象とはならないので注意してください。

なお結婚前に夫婦どちらかが購入した物件であっても、結婚後にローンが残っていれば財産分与の対象となります。

いずれにせよ、離婚する前に住宅ローンについてすべての情報を把握しておくことが大切です。

住宅ローンを完済する方法を考える

LOANという積み木の上に乗った家の模型
離婚時に持ち家という財産を夫婦でスムーズに分割する理想的な方法は、家を売却して現金化することです。

ところが、住宅ローンの返済中であれば話は別です。借金といったマイナスの財産も離婚時の財産分与の対象であり、たとえ夫名義の住宅ローンだとしても、そのローンの残債を夫婦で分けることになります。またローンが残っていると銀行の抵当権を抹消できず、売却自体がきわめて難しくなります。ですから、まずは住宅ローンを完済することから検討しましょう。

抵当権を抹消しないと家は売れません

住宅ローンを借りるとき、金融機関は貸すための条件としてその家を担保にします。これが「抵当権」です。この抵当権が付いたままでは、買主が現れてもローンが組めず、購入を見送られてしまいます。

抵当権を抹消するためには、住宅ローンの残債を一括で返済する必要があります。

仲介で売り、売却代金でローンを完済する

手元に住宅ローンを返済できるだけのお金がない場合、不動産会社に売却の仲介を依頼し、売却した代金で住宅ローンを支払います。また、仲介を依頼する不動産会社を選ぶときは、複数社に査定を依頼するのがコツです。複数の査定価格や各社の得意分野などを比較することで、自分に合った信頼できる不動産会社を見つけやすくなります。

この場合は、複数の不動産会社に査定を依頼し、しっかりとした不動産会社を選んでください。査定の方法や不動産会社の選び方は「家の査定はどこをチェックしている?評価ポイントと注意点」や「家やマンションを高値で売却する不動産会社の選び方と注意点」を参考にしてください。

買取や手持ちの資産でローンを完済する

住宅ローンの残債が少ないなら、不動産買取業者に直接家を買い取ってもらい、早期にローンを完済するという方法もあります。離婚のタイミングに合わせて家を現金化したい場合も、買取を検討するといいでしょう。買取は仲介で売却するよりも価格が安くなりがちですが、早く確実に売ることができます。

そのほか、もし売却金額ではローンを完済できない場合、手持ちの資金を返済に充てるなどして対応します。

不動産の買取について、詳しくは「不動産買取業者のメリット・デメリットは?相場より得するコツ」を参考にしてください。

完済の見込みがないなら任意売却を検討する

売却代金や手持ちの資金を使っても住宅ローンを完済できない場合、「任意売却」という方法があります。住宅ローンが残ったまま売却し、残債は新しくローンを組み、少しずつ返却していく方法です。

ただし、任意売却は弁護士などの指導と金融機関の承諾があって初めて行える売却方法です。また、金融機関のブラックリストにも載るため、金融機関での借り入れはできなくなります。任意売却を選ぶのは最終手段だと考えてください。

任意売却について、詳しくは「任意売却で住宅ローン返済中の家を売る方法とメリット・デメリット」を参考にしてください。

立地や築浅の場合は、賃貸物件への検討も

購入したばかりの新築物件や立地や築浅物件の場合、売却ではなく賃貸物件にして、家賃収入を住宅ローンの返済に充てるという方法もあります。

ただし、住宅ローンの名義人以外がその家に住むことになるので、銀行へ事前に相談し、承諾を得る必要があります。

「自分の家が賃貸物件として魅力的であるか」を冷静に判断し、空室のリスクを受け入れられるかなどを検討したうえで、不動産会社に相談することをおすすめします。

夫婦共有名義や連帯保証人のトラブル

家の模型と通帳と返済予定表
住宅ローンや家を夫婦の共同名義にしていると、離婚によって売却することになった場合、さまざまなステップを踏む必要があります。ここからは共有名義とは何か、離婚時に何が問題になるかを解説します。

共有名義って何?

「共有名義」とは夫婦に限らず、1つの不動産を親や兄弟などが共同で所有していることをいいます。共有名義の家を売却する際には、下記の項目をすべてクリアする必要があります。

  • 共有者全員の承諾
  • 共有者全員の実印と印鑑証明
  • 共有者全員が直筆で契約書にサイン
  • 売買契約時は共有者全員で立ち会い
  • 決済時は共有者全員で立ち会い

離婚が成立して自宅を売却しようと思っても、共有名義者の同意が得られなければ、勝手に売却できません。離婚で共有名義の自宅を売却する際は、離婚成立前の売却がおすすめです

新しい住宅ローンが組めない場合がある

住宅ローンは基本的に1人に対し1つが望ましいとされ、金融機関が住宅ローンの審査をする際にも、他の金融機関で住宅ローンを組んでいないかを必ずチェックしています。2つ同時にローンを組もうとしても、ほとんどが審査ではじかれてしまうのです。

離婚の話し合いで、仮に夫が住宅ローンを支払っていくという取り決めをした場合でも、共有名義は必ず整理しておきましょう。そうしないと、離婚後でも元夫と元妻ともに「ローンが継続している」と判断されてしまいます。

離婚する前の住宅ローンを共有名義のままにしておくと、たとえば妻が離婚後に家を買おうとしても、共有名義者としてローンを組んでいると判断され、審査に通らない可能性があります。そのため、共有名義は離婚前に解除しておくことをおすすめします。

離婚しても連帯保証人は解除されない

夫名義の住宅ローンで妻が連帯保証人になっている場合、夫と離婚して戸籍上他人になったとしても、妻は連帯保証人のままです。そうなると、離婚後に元夫がローンの支払いを滞らせた場合、連帯保証人である元妻のもとへ支払いの請求が回ってきます。さらに、その元夫が失踪するなど連絡がつかなくなった場合、その家を売ってローンを返済しようとしても、共有者全員の合意が得られていないので売却できません。ローンを返済できなければ、結果として元妻の財産が差し押さえられてしまいます。

連帯保証人から外れたい場合、連帯保証人になっている住宅ローンを返済し、債務をなくす必要があります。新たな連帯債務者を見つけて、金融機関に提出するという方法もありますが、連帯保証人の責任は非常に重く、親しい親族などでも引き受けてもらいにくいため、現実的ではありません。

住宅ローンが残っていると家の名義変更は不可能

登記上では住宅ローンが残っていても、家の名義を変更することは可能です。

ただし、住宅ローンを組む際に締結した金銭消費貸借契約書(抵当権設定契約証書)の中に、不動産の名義変更をする場合は、事前に銀行の承諾を得なければいけないという条項が入っています。

つまり、住宅ローンが残っている不動産の名義を変更するときは、銀行の承諾を得る必要があるのです。銀行の承諾なしで名義変更をすると、当然この条項に違反することになり、契約違反を理由に一括返済を求められる可能性もあります。

離婚が原因での名義変更は、住宅ローンの支払い能力などを考慮され、銀行に承諾してもらえる可能性はかなり低いといえます。

名義変更をしないまま、家に住み続けるリスク

「それなら不動産の名義変更をせず、そのまま住み続けてしまえばいいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、住宅ローンとは「住宅ローンを組んでいる人がそこに住むこと」を条件に融資を行っているので、仮に元夫名義の家に元妻が住み続けると、条件に当てはまらなくなり違反とみなされます。

銀行は住んでいる人を見張っているわけではないので、その違反に気づくことはないかもしれません。ですが、もし元夫が住宅ローンの支払いを滞らせたなどによって、名義人でない人が住んでいることが発覚した場合、銀行から債務回収のために家を競売に出され、強制退去となる可能性があります。

また家の名義人である元夫が亡くなった場合、その家は相続人が取得することになるので、相続人から退去を求められることが多いのも注意すべき点です。このように、名義変更をせずに住み続けるには高いリスクがあります。

住宅ローンが残っている家に住み続けるための解決策

では住宅ローンが残っている家に住み続けるには、どうしたらいいのでしょうか。ここでは一般的に多いケースである、家や住宅ローンが夫婦の共有名義であり、元夫から元妻への名義変更する場合を例にご説明していきます。

住宅ローンを借り換える

元妻にある程度の収入があり、住宅ローンの残債分の借り換え融資審査を通過できるのであれば、一番おすすめな方法です。この場合、借り換え先の銀行から審査を受け、無事に内諾を得た状態で借り換えをスタートするのが安心です。

そして、新しい銀行で受けた融資で、前の住宅ローンを完済します。家に関しても、住宅ローンが共有ではなくなったため、名義人の変更が可能です。登記の手順は以下になります。

  • 抵当権抹消登記(最初に住宅ローンを組んでいた銀行)
  • 財産分与を原因とする所有権移転登記(夫婦共有→妻のみ)
  • 抵当権設定登記(妻の新たな借入先)

ただし、この方法は元妻に住宅ローンを借りるだけの収入があることが前提です。勤続年数が少ない場合や、パート・アルバイトでは審査に通ることは非常に厳しいといえます。

履行引受を行い、住宅ローンを完済する

そのほか、「履行引受」を行って住宅ローンを完済する方法もあります。まず、不動産の名義変更をせず、履行引受という形で元妻が住宅ローンを払い続けます。そして、住宅ローンを完済してから、名義変更(所有権移転登記)を行います。この方法は「名義変更をしないまま家に住み続けるリスク」はありますが、元夫に住宅ローンの支払いを依存しないため、元夫の住宅ローン滞納による競売リスクは回避できます。

ただし、完済するまでに20~30年もの年月が必要になると、元夫と連絡がつかなくなる可能性もあり、名義変更の手続きができなくなるかもしれません。最悪の場合、「住宅ローンを支払った家は自分のものだ」と元夫があとから主張してくることもあり得ます。

履行引受は、住宅ローンの残債が少ない場合におすすめです。さらに、離婚の際には「住宅ローンが完済したら妻の名義にする」という家の名義変更についての取り決めを、離婚協議書や法的効力のある公正証書に記しておいたほうが安心です。

履行引受とは?

民法では、履行引受について「第三者が債務者に対して特定の債務の履行を約束すること。民法上の規定はないが第三者が弁済できる場合には認められる。債務引受とは異なり、債権者の同意は必要としない。また特約がない限り、債権者は履行引受者に直接請求することはできない」と記されています。

「離婚後の住宅ローンを元妻が履行引受で支払い続ける」という内容を簡単にまとめると、「今まで元夫が支払っていた住宅ローンを、元妻が支払うという契約を元夫と交わす。このとき、銀行への同意は必要ない。そして、元妻が住宅ローン完済まで支払いを続ける」となります。

この場合、仮に元妻が住宅ローンを支払わなければ、元夫に対して銀行から支払いが請求されることになります。

家を慰謝料にする時は、渡した方に譲渡所得税が掛かるかも

慰謝料として家を渡す場合、「渡す側」は注意が必要です。なぜなら、慰謝料に対して贈与税が発生する可能性があるからです。

その理由を詳しく説明すると「家という不動産を慰謝料という債務に対して代物弁済した」とみなされ、税務上は「相手に不動産を売却した」という扱いになってしまうからです。この場合、慰謝料相当額が売却代金となり、発生した利益に対して譲渡所得税がかかります。

「居住用の家を売却した際にはさまざまな特別控除があるので、それを使えば節税できるのでは」と思われるかもしれませんが、親族間や夫婦間など特別な関係での不動産売却に関して、特別控除は条件外になり、利用できません。

自宅を慰謝料にしたい場合は、離婚が成立した後に自宅を慰謝料として払えば、特例を使うことができます。

まとめ

離婚時によくもめるといわれる財産分与。なかでも、今回ご紹介したような家や土地などの不動産は簡単に分けることができないので、トラブルになりがちです。離婚時に住宅ローンが残っている場合は、家を売るのか、売却しない場合はどうするのかなど、事前に夫婦でよく話し合って決めておくようにしましょう。

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